しりとりって海外にもあるの?世界中の”言葉つなぎ遊び”を大調査してみた

子どものころ、車の中や公園で友達と延々と遊んだ「しりとり」。前の人が言った言葉の最後の文字から始まる言葉をつなげていくだけの、とてもシンプルな遊びです。

ところで、このしりとりという遊び、当たり前のように日本語の遊びだと思い込んでいませんでしたか。筆者自身、ずっと「しりとりは日本オリジナルの言葉遊びだ」と信じて疑いませんでした。

ところが調べてみると、驚くべきことに世界中のさまざまな国や地域に、しりとりとよく似たルールを持つ言葉遊びが存在していることが分かりました。しかも国によっては、単語ではなく歌や四字熟語をつなげるなど、日本のしりとりとは一味違った独自の進化を遂げています。

この記事では、英語圏・韓国・中国・インド・ロシアなど世界各国に伝わる「しりとりのような遊び」を、由来や具体的な遊び方とともにひとつずつ詳しく紹介していきます。読み終わるころには、きっと誰かに話したくなる雑学が増えているはずです。

目次

1. そもそも日本のしりとりとはどんな遊びなのか

まずは前提として、日本のしりとりのルールをおさらいしておきましょう。

ルールはとてもシンプルです。最初の人がひとつの単語を言い、次の人はその単語の最後の音(かな)から始まる言葉を答えます。それを繰り返していき、途中で言葉に詰まったり、語尾に「ん」が付く言葉を言ってしまったりした人が負けというのが基本ルールです。

「りんご」→「ごりら」→「らっぱ」というように、音のバトンをつないでいくシンプルさが、子どもから大人まで幅広く愛される理由でしょう。特別な道具もいらず、何人でも、どこでも遊べる手軽さも魅力のひとつです。

このように、言葉の音の一部を手がかりにして単語をつないでいく遊びは、言語学的には「ワードチェーン(word chain)」と呼ばれるジャンルに分類されます。そして実は、このワードチェーンというジャンル自体が、世界中の言語文化に広く分布していることが分かっています。

2. 英語圏の「ワードチェーン(Word Chain)」

英語圏にも、しりとりとほぼ同じ仕組みの遊びが古くから存在します。英語ではそのまま「Word Chain」と呼ばれるほか、「Last and First」「Alpha and Omega」「The Name Game」「Grab on Behind」など、地域によってさまざまな呼び名がつけられています。

遊び方は日本のしりとりとほとんど同じで、前の単語の最後のアルファベットから始まる単語を答えていきます。例えば「soup(スープ)」→「peas(豆)」→「sugar(砂糖)」→「rice(米)」というように、食べ物というテーマを決めて遊ぶことも多いようです。

面白いのは、しりとりが「ん」で終わると負けというシンプルな終了条件を持つのに対し、英語のワードチェーンには、5秒以内に答えられなければアウトという時間制限ルールが設けられていることが多い点です。のんびり考える余裕がない分、スピード感のあるゲームになっています。

さらに、国名や都市名、川や湖の名前だけをつなげる「Geography(地理版)」という応用ルールもあり、これは学校の地理の授業にも取り入れられているそうです。

この英語版しりとりの記録として面白いのが、イギリスの作家ルイス・キャロルが1878年に考案したとされる「Word Links」という言葉遊びです。『不思議の国のアリス』の作者としても知られるキャロルは、言葉遊びを愛したことでも有名ですが、その彼が19世紀後半にはすでに単語をつなげていく遊びを考案していたというのは、しりとりの歴史を考えるうえでとても興味深い事実です。

また、南スラブ地域(旧ユーゴスラビア圏)には「カロドント(kalodont)」と呼ばれる遊びがあり、こちらは前の単語の最後の1文字ではなく最後の2文字を使って次の単語を作るという、少しひねりの効いたルールになっています。ルーマニアにも「ファザン(Fazan、キジという意味)」という似た遊びがあり、これも最後の2文字を引き継ぐルールです。単純に最後の1文字をつなぐ日本式よりも、難易度がぐっと上がりそうです。

3. 韓国の「끝말잇기(クンマリッキ)」

お隣の国、韓国にもしりとりに驚くほどよく似た遊びがあります。それが「끝말잇기(クンマリッキ)」です。韓国語で「끝(クッ)」は「終わり」、「말(マル)」は「言葉」、「잇기(イッキ)」は「つなぐこと」を意味しており、直訳すると「言葉の終わりをつなぐ遊び」となります。

ルールは日本のしりとりとほぼ同じで、ハングルの最後の文字を次の単語の最初の文字として使っていきます。例えば「사과(サグァ、りんご)」の最後の文字は「과(グァ)」なので、次は「과일(グァイル、果物)」のように「과」から始まる単語を答える、といった具合です。

韓国では子どもの遊びとしてだけでなく、テレビのバラエティ番組やクイズ番組の中でも끝말잇기がしばしば取り上げられており、大人になっても親しまれている国民的な言葉遊びのひとつだといえるでしょう。日本のしりとりと発祥の関係がはっきりしているわけではありませんが、隣国同士でこれほど似た遊びが独自に育っていたというのは、非常に興味深い共通点です。

4. 中国・台湾の「接龍(ジエロン)」

中国語圏にも、しりとりのような言葉遊びがあります。それが「接龍(簡体字では接龙、ジエロン)」と呼ばれるものです。「接」は「つなぐ」、「龍」は「龍」を意味し、龍の体のように言葉を長くつなげていくイメージからこの名前がついたとされています。

基本的な接龍のルールは、前の単語の最後の漢字を、次の単語の最初の漢字として使うというものです。例えば「水果(シュイグォ、果物)」の最後の字は「果」なので、次は「果園(グォユエン、果樹園)」のように「果」から始まる言葉を答えます。中国語の単語は複数の漢字で構成されることが多いため、日本語や韓国語よりも語彙の選択肢が豊富になる傾向があるようです。

さらに中国語圏で特に人気なのが、四字熟語(成語)だけを使う「成語接龍」というバリエーションです。前の四字熟語の最後の字と、次の四字熟語の最初の字を一致させながらつなげていくもので、単なる語彙力だけでなく、故事成語の知識も試される、かなり教養寄りの言葉遊びになっています。台湾や中国のスマートフォンアプリでも「成語接龍」をテーマにしたゲームが数多く配信されており、子どもの学習教材としても活用されているようです。

5. インドの「アンタークシャリー」〜歌でつなぐしりとり〜

ここまで紹介してきた遊びは、いずれも「単語」をつなげていくタイプの遊びでした。しかしインドには、単語ではなく「歌」をつなげていくという、まったく違ったアプローチのしりとり文化があります。それが「アンタークシャリー(Antakshari)」です。

アンタークシャリーという名前は、サンスクリット語の「antya(終わり)」と「akshara(文字)」に由来しており、「終わりの文字の遊び」という意味を持っています。遊び方は、まず一人が歌の最初の一節を歌い、その歌詞の最後の文字(子音)を次の人が受け取って、その文字から始まる別の歌を歌うというものです。多くの場合、インド映画(ボリウッド)の挿入歌が使われ、家族や友人が集まる場、長距離の電車やバスの車内などで盛んに遊ばれてきました。

さらに興味深いのは、このアンタークシャリーの起源が古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』にまでさかのぼるとされている点です。伝承によれば、修行者たちが賛歌(バジャン)の一節を、前の賛歌の最後の文字から始まる別の賛歌へとつなげながら歌い継いでいたことが、この遊びのルーツになっているといわれています。単なる子どもの遊びというだけでなく、宗教的な詠唱の伝統とも深く結びついているのは、日本のしりとりにはない大きな特徴です。

なお、インドには言葉だけをつなぐ「ワーダークシャリー(Wordakshari)」という非音楽版のバリエーションも存在しており、こちらは私たちがよく知るしりとりに近い遊び方になっています。

6. ヨーロッパにも広がる言葉つなぎ文化

しりとりに似た遊びは、ヨーロッパの国々にも点在しています。

例えばロシアには「Слова(スラヴァ、「言葉」の意味)」と呼ばれる遊びがあり、これも前の単語の最後の文字から次の単語を始めるという、しりとりとほぼ同じ仕組みを持っています。

また、少し変わり種としてトルコには「İsim Şehir(イスィム・シェヒル、「名前・都市」の意味)」というゲームがあります。これは決められたアルファベットから始まる人名、都市名、動物名、植物名などを制限時間内にできるだけ多く答えるというクイズ形式の遊びで、しりとりのように前の単語から次の文字を引き継ぐわけではありませんが、「特定の文字から始まる言葉を素早く思いつく」という頭の使い方は共通しています。

さらに視点を広げると、古代ギリシャには「スコリオン(skolion)」と呼ばれる酒宴の席で楽しまれた即興の詩の掛け合いがあり、これも言葉や詩句を連鎖させていく遊びの一種として知られています。中国や日本の伝統文化にも、前の人が詠んだ句の最後の言葉から次の句を詠み始める「付け句」のような文学的な言葉遊びがあり、これらは総称して「capping verses(詩句を継ぎ足す遊び)」と呼ばれることもあります。単語遊びとしてのしりとりだけでなく、こうした文学的な連歌・連句の文化もまた、広い意味での「言葉をつなげる遊び」の仲間だといえそうです。

7. なぜ世界中に似たような遊びが生まれたのか

ここまで見てきたように、しりとりに似た遊びは日本だけでなく、英語圏、韓国、中国、インド、ロシア、南スラブ地域、ルーマニアなど、実に多くの国や地域で独自に発展してきました。

これほど広範囲に似たルールの遊びが存在する理由については、はっきりとした結論が出ているわけではありません。ただし言語学的な視点から考えると、いくつかのヒントが見えてきます。

ひとつは、「言葉の音をつなげる」という発想自体が、道具を必要とせず、誰でもどこでも遊べる、非常にシンプルで普遍性の高い遊びの形式だという点です。特別な準備がいらず、頭の中の語彙力だけで成立するという手軽さは、言語や文化の壁を越えて自然発生的に生まれやすい条件を備えています。

もうひとつは、こうした言葉遊びが「語彙を増やす」「素早く言葉を思いつく」といった言語学習・教育的な効果を持っている点です。実際、韓国の끝말잇기や中国の成語接龍は、子ども向けの言語教育の現場でもたびたび活用されており、英語のワードチェームも第二言語としての英語学習の教材として使われることがあるようです。遊びながら語彙力や瞬発的な言語処理能力を鍛えられるという実用性の高さが、世界各地で似たような遊びが独立して生まれ、長く受け継がれてきた大きな理由のひとつなのかもしれません。

そして、インドのアンタークシャリーのように歌や詩の伝統と結びついたケースもあれば、日本のしりとりのように純粋に子どもの遊びとして発展したケースもあるというように、同じ「言葉をつなげる」という発想から、それぞれの文化的な背景に応じてまったく異なる進化を遂げているという点も、非常に興味深いポイントです。

8. まとめ

しりとりは日本だけの特別な遊びではなく、実は世界中の言語や文化の中に、驚くほどよく似た仲間が存在していました。

英語圏の「Word Chain」、韓国の「끝말잇기」、中国・台湾の「接龍」、インドの歌でつなぐ「アンタークシャリー」、そしてロシアやルーマニア、南スラブ地域、さらには古代ギリシャの詩の掛け合いまで、「言葉の一部をつなげて遊ぶ」という発想は、まさに人類共通の遊びの原型のひとつだったといえそうです。

こうして世界の言葉遊びを見比べてみると、単語の最後の文字をつなぐという一見単純なルールの中にも、それぞれの国の言語の特徴や文化的な背景が色濃く反映されていることが分かります。もし海外の友人ができたときには、ぜひ「あなたの国にもしりとりみたいな遊びはある?」と聞いてみてください。きっと、思いがけない答えが返ってくるはずです。

次に誰かとしりとりをするときは、この記事で紹介した世界のしりとり事情も、ちょっとした話のネタにしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

手帳が続かない・考えすぎて動けない、そんな時期を何度も経験してきました。
手帳歴20年以上、GTD・振り返り・小さな習慣を実践しながら、少しずつ自分なりの整理術を見つけてきた人間です。
「頑張りすぎない改善」をテーマに、手帳・習慣化・心理・オカルト・日常の気になることを丁寧に発信しています。

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