玉露はコーヒーの約3倍!?お茶のカフェイン量ランキングと夜でも安心なノンカフェイン茶10選

夜のリラックスティータイムのイメージ
目次

はじめに 夜にホッと一息、お茶を飲みたくなりませんか?

一日の仕事や家事が終わって、ようやく自分の時間。そんなとき、温かいお茶を一杯いれて「ふぅ」と一息つきたくなることはありませんか。

湯気の立つマグカップを両手で包むだけで、気持ちがゆるんでいく。夜のお茶の時間は、忙しい毎日の中で自分を取り戻すための、ささやかで大切な習慣ですよね。

でも、ここでふと気になるのが「カフェイン」のこと。

「コーヒーは夜に飲むと眠れなくなるから、お茶にしておこう」
そう考えて緑茶や紅茶を選んでいる方も多いのではないでしょうか。

実は、お茶の種類によってはコーヒーと同じくらい、あるいはそれ以上のカフェインを含んでいるものもあります。たとえば高級なお茶として知られる「玉露」は、同じ量で比べるとコーヒーの2倍以上ものカフェインを含んでいるんです。

さらに海外の研究では、「寝る6時間前に飲んだカフェインでも、睡眠時間が1時間以上短くなった」という結果も報告されています。「夕方のお茶くらい大丈夫」と思っていたその一杯が、じつは眠りの質をこっそり下げているかもしれません。

この記事では、次のような内容をたっぷりとお届けします。

  • 身近な飲み物のカフェイン量ランキング(100mlあたり・1杯あたり)
  • お茶だけに絞った徹底比較ランキング
  • 夜でも安心して飲めるノンカフェインのお茶特集
  • 海外の論文や公的機関の資料からわかった、日本ではあまり知られていないカフェインの話
  • 時間帯やシーンに合わせた、上手な飲み分け方

「夜のお茶時間を、もっと安心して楽しみたい」
そんな方の参考になればうれしいです。少し長い記事になりますが、気になるところから読んでみてくださいね。

そもそもカフェインってどんなもの?まずは基本をおさらい

ランキングを見る前に、カフェインについて簡単に知っておきましょう。基本を押さえておくと、ランキングの数字がぐっと身近に感じられるはずです。

カフェインは「眠気のブレーキ」を外す成分

私たちの体の中では、起きている時間が長くなるにつれて「アデノシン」という物質がたまっていきます。このアデノシンが脳に「そろそろ休もうよ」と合図を送ることで、私たちは眠気を感じます。

カフェインは、このアデノシンが働く場所に先回りしてフタをしてしまう性質を持っています。すると脳は「まだ疲れていない」と勘違いし、目がさえた状態になるわけです。

つまりカフェインは、元気を生み出しているわけではなく、「眠気のサイン」を一時的に見えなくしているだけ。これが、カフェインの効き目が切れたときにドッと疲れを感じる理由でもあります。

体から抜けるまでに意外と時間がかかる

カフェインを飲んでから、体の中の量が半分に減るまでの時間を「半減期」と呼びます。健康な大人の場合、この半減期はおよそ4〜6時間前後といわれていますが、実は個人差がとても大きく、人によっては2時間ほどで抜ける人もいれば、10時間近くかかる人もいます。

たとえば半減期が5時間の人が、夕方5時にコーヒーを1杯(カフェイン約90mg)飲んだとしましょう。

  • 夜10時の時点で、まだ約45mgが体に残っている
  • 深夜3時の時点でも、約22mgが残っている

夜10時に残っている約45mgは、煎茶2杯分くらいに相当します。「夕方の1杯なら大丈夫」と思っていても、寝る時間にはまだそれなりの量が体の中で働いている、ということがわかりますね。

1日にどれくらいまでならOK?

日本には、カフェインの1日の摂取量について国としての明確な基準はまだありません。そのため、海外の公的機関が出している目安がよく参考にされます。

代表的なのが、ヨーロッパの食品の安全を担う機関(欧州食品安全機関、EFSA)が2015年に示した目安です。

対象1日の目安
健康な大人400mgまで
健康な大人(1回あたり)200mgまで
妊娠中・授乳中の方200mgまで
子ども・10代体重1kgあたり3mgまで

また、カナダの保健省(Health Canada)は、子どもについて年齢ごとにより具体的な目安を出しています。

年齢1日の目安
4〜6歳45mgまで
7〜9歳62.5mgまで
10〜12歳85mgまで
13歳以上の10代体重1kgあたり2.5mgまで

お子さんの場合、コーラ1本や紅茶1〜2杯で目安に近づいてしまうこともあります。家族みんなで同じ飲み物を楽しむときは、少しだけ気にしておくと安心ですね。

徹底比較!飲み物のカフェイン量ランキング

それでは、いよいよランキングです。
まずは身近な飲み物全体のカフェイン量を、同じ量(100ml)で比べてみましょう。

【100mlあたり】飲み物のカフェイン量ランキング

順位飲み物カフェイン量(100mlあたり)
1位エスプレッソ約210mg ※海外データ
2位玉露約160mg
3位ドリップコーヒー約60mg
4位インスタントコーヒー約57mg
5位エナジードリンク約30〜300mg ※製品により大きく差あり
6位紅茶約30mg
7位煎茶約20mg
7位ほうじ茶約20mg
7位ウーロン茶約20mg
10位コーラ約10mg
10位番茶約10mg
10位玄米茶約10mg
13位ココアごく少量(数mg程度)
14位麦茶・ルイボスティーなど0mg

※日本の食品成分表や食品安全委員会の資料、米国農務省(USDA)のデータなどをもとにした目安です。いれ方や製品によって量は変わります。

こうして並べてみると、「玉露」の存在感が圧倒的ですね。コーヒーの約2.7倍ものカフェインを含んでいます。

一方で、よく「カフェインが少なくて体にやさしい」といわれるほうじ茶が、実は煎茶と同じくらいのカフェインを含んでいる、というのも意外なポイントではないでしょうか。

【1杯あたり】実際に飲む量で比べるとどうなる?

ただ、私たちが実際に飲む量は飲み物によって違います。エスプレッソはおちょこほどの量ですし、玉露も小さな湯のみでいただくのが一般的です。そこで、よくある「1杯の量」で計算し直してみましょう。

順位飲み物(1杯の目安量)カフェイン量(1杯あたり)
1位エナジードリンク(250ml缶)約80〜150mg ※製品により差あり
2位ドリップコーヒー(150ml)約90mg
3位インスタントコーヒー(140ml)約80mg
4位玉露(50ml)約80mg
5位抹茶(粉末2gを使った1杯)約60mg
6位エスプレッソ(30ml)約60mg
7位紅茶(150ml)約45mg
8位ほうじ茶(150ml)約30mg
8位ウーロン茶(150ml)約30mg
10位煎茶(120ml)約24mg
11位コーラ(350ml缶)約35mg
12位番茶・玄米茶(150ml)約15mg

※コーラは1缶の量が多いため、1杯あたりにすると紅茶の少し下くらいになります(表は種類ごとのまとまりを重視して並べています)。

1杯あたりで見ると、「エスプレッソは濃いからカフェインが多い」というイメージとは少し違う結果になりますね。エスプレッソは量が少ないため、1杯あたりではドリップコーヒーより少なくなることが多いんです。

つまり、カフェインの量は「濃さ」だけでなく「どれだけ飲むか」で決まる、ということ。大きなマグカップやタンブラーでたっぷり飲む方は、この表の1.5〜2倍くらいになると考えておくとよいでしょう。

お茶だけで比べる!お茶のカフェイン量ランキング

ここからは、この記事の主役である「お茶」にしぼって詳しく見ていきましょう。

順位お茶の種類100mlあたり特徴
1位玉露約160mg日光をさえぎって育てるため、うまみもカフェインも豊富
2位抹茶約60mg(1杯あたり)茶葉をまるごと飲むので、成分をしっかり摂取
3位紅茶約30mg発酵させたお茶。いれ方で量が変わりやすい
4位煎茶約20mg日本で一番よく飲まれている緑茶
4位ほうじ茶約20mg香ばしさで「軽い」印象だが、煎茶と同程度
4位ウーロン茶約20mg半発酵のお茶。食事と合わせる人も多い
7位番茶約10mg成長した葉や茎を使うためカフェインは控えめ
7位玄米茶約10mgお茶の葉に炒った玄米を混ぜる分、カフェインが少なめ
9位麦茶0mg大麦が原料で、そもそもお茶の葉を使っていない

1位の玉露は、なぜこんなにカフェインが多いの?

玉露は、収穫前の約20日間、茶畑にわらや覆いをかぶせて日光をさえぎって育てます。こうすることで、うまみのもとである「テアニン」という成分が葉にたくさん残り、あの濃厚でまろやかな味わいが生まれます。

そして、この育て方をすると、若い芽にカフェインもたっぷりとたくわえられます。さらに、玉露は少ないお湯に多めの茶葉を使って、じっくりと成分を引き出すいれ方をするため、結果として100mlあたりのカフェイン量がとても多くなるのです。

「高級なお茶だから、寝る前のご褒美に」という飲み方は、実は一番眠りをさまたげやすいパターンかもしれません。

抹茶は「葉っぱごと」だから要注意

抹茶は、お茶の葉を細かくひいた粉をお湯に溶かして飲みます。いれたお茶の「エキス」を飲む煎茶と違い、葉っぱそのものを丸ごと飲んでいるので、カフェインもしっかり体に入ってきます。

最近は抹茶ラテや抹茶スイーツが人気ですが、抹茶ラテ1杯で煎茶2〜3杯分のカフェインをとることもあります。夜のカフェタイムで抹茶ラテを選ぶときは、少し気にしてみてくださいね。

「ほうじ茶はカフェインが少ない」は本当?

ほうじ茶は、煎茶や番茶を強い火で焙じて(炒って)作るお茶です。焙じるときの熱でカフェインが少し飛ぶため、「ほうじ茶はカフェインが少ない」と紹介されることがよくあります。

しかし、日本の食品成分表では、ほうじ茶も煎茶も100mlあたり約20mgと同じ数値になっています。原料や商品によって差はありますが、「ほうじ茶ならいくら飲んでも大丈夫」というわけではない、ということは覚えておきたいポイントです。

ほうじ茶が「やさしく感じる」のは、苦みや渋みが少なく、香ばしい香りでリラックスしやすいからかもしれません。気持ちがほぐれる効果はありつつ、カフェインはそれなりに入っている。そんなふうに考えておくとよいでしょう。

紅茶とコーヒー、実は「葉っぱ」の方がカフェインは多い

意外な豆知識をひとつ。乾いた状態の茶葉とコーヒー豆を同じ重さで比べると、実は茶葉の方がカフェインを多く含んでいます。

それなのに、いれた後の飲み物ではコーヒーの方がカフェインが多くなるのは、使う量が違うからです。コーヒー1杯には10g前後の粉を使いますが、紅茶1杯に使う茶葉は2〜3g程度。原料の量の差が、そのまま飲み物のカフェイン量の差になっているんですね。

ペットボトルのお茶はどうなの?

コンビニや自動販売機で買えるペットボトルの緑茶は、急須でいれたお茶よりもカフェインが少なめの商品が多く、100mlあたり10〜20mg程度のものが一般的です。ただ、500mlのボトルを1本飲みきると、50〜100mgほどになることも。

最近は「カフェインゼロ」や「カフェイン控えめ」をうたった緑茶も増えています。夕方以降にペットボトルのお茶を買うときは、ラベルの成分表示をちらっと見てみるのがおすすめです。

夜でも飲めるおすすめノンカフェインお茶特集

「夜もお茶を楽しみたい。でも眠りは邪魔されたくない」
そんな方のために、カフェインを含まない(ノンカフェインの)お茶を集めました。どれもスーパーやドラッグストア、ネット通販で手に入りやすいものばかりです。

ちなみに、ここで紹介するお茶の多くは、緑茶や紅茶のような「お茶の木(チャノキ)」の葉ではなく、穀物や豆、ハーブなど別の植物から作られています。そのため、もともとカフェインが含まれていないのです。

1. 麦茶 日本の定番ノンカフェインティー

大麦を炒って作る麦茶は、日本の夏の定番ですが、実はホットでもとてもおいしいお茶です。香ばしい香りは、ほうじ茶が好きな方にも満足感があるはず。

  • カフェイン 0mg
  • 味わい 香ばしく、すっきり
  • おすすめの飲み方 寒い夜はホットで。やかんで煮出すと香りが一段と豊かになります

麦茶の香ばしい香りのもとになる成分には、血液の流れをよくするはたらきがあるという研究もあります。赤ちゃんからお年寄りまで家族みんなで飲めるのも、うれしいポイントですね。

2. ルイボスティー 南アフリカ生まれの赤いお茶

南アフリカの限られた地域だけで育つ植物から作られるルイボスティー。きれいな赤茶色で、紅茶に似た雰囲気がありながら、カフェインはまったく含まれていません。

  • カフェイン 0mg
  • 味わい ほんのり甘く、クセが少ない
  • おすすめの飲み方 牛乳や豆乳を加えて「ルイボスミルクティー」に。はちみつを少し入れると、夜のデザートドリンクのようになります

ルイボスには、ルイボスならではの「アスパラチン」という成分が含まれていることが知られており、海外でもさまざまな研究が進められています。紅茶の代わりを探している方に、まず試してほしいお茶です。

3. カモミールティー 「眠りのハーブ」として愛される一杯

ヨーロッパでは昔から「おやすみ前のお茶」として親しまれてきたカモミール。りんごのような甘い香りが特徴で、ハーブティー初心者にも飲みやすい一杯です。

  • カフェイン 0mg
  • 味わい りんごのような甘くやさしい香り
  • おすすめの飲み方 ティーバッグをカップに入れ、ふたをして5分ほどじっくり蒸らすと香りがしっかり出ます

台湾で行われた研究では、出産後の女性がカモミールティーを2週間飲み続けたところ、睡眠の質に関する悩みが改善したという結果が報告されています(詳しくは後の章で紹介します)。

※キク科の植物にアレルギーがある方は注意が必要です。

4. ごぼう茶 香ばしさと土の香りがクセになる

ごぼうを薄く切って乾燥・焙煎したお茶です。見た目はほうじ茶のようで、香ばしさの中に、ごぼうらしい素朴な香りが広がります。

  • カフェイン 0mg
  • 味わい 香ばしく、ほんのり甘い
  • おすすめの飲み方 ティーバッグのほか、煮出しても◎。飲んだ後のごぼうは、きんぴらや炊き込みご飯に使えます

食物繊維の一種を含むことでも知られ、和食との相性もばつぐんです。

5. とうもろこし茶(コーン茶) 韓国でおなじみのやさしい甘さ

炒ったとうもろこしの実から作るお茶で、韓国では家庭や飲食店でよく飲まれています。ポップコーンのような香ばしい甘さがあり、お子さんにも人気です。

  • カフェイン 0mg
  • 味わい 香ばしく、自然な甘み
  • おすすめの飲み方 ホットでも冷たくしてもおいしい。甘いものが欲しくなる夜にぴったり

とうもろこしのひげを使った「ひげ茶」もあり、こちらもノンカフェインです。

6. 黒豆茶 ほっこり甘い和のノンカフェインティー

炒った黒豆をお湯で煮出して作るお茶。黒豆の自然な甘みと香ばしさで、飲んだ後にほっと心が落ち着きます。

  • カフェイン 0mg
  • 味わい ほんのり甘く、まろやか
  • おすすめの飲み方 お茶を飲み終わった後の黒豆は、そのまま食べることもできます

黒豆の皮には、赤ワインにも含まれる「ポリフェノール」の仲間が含まれています。

7. ペパーミントティー すっきりしたい夜に

さわやかな清涼感が特徴のペパーミントティー。食べ過ぎた日の夜や、気分をリセットしたいときにおすすめです。

  • カフェイン 0mg
  • 味わい スーッとさわやか
  • おすすめの飲み方 はちみつを少し加えると、清涼感がやわらいで飲みやすくなります

ただし、胃の調子によっては、むねやけを感じやすくなる方もいるといわれています。

8. レモンバームティー ほのかなレモンの香りで気分転換

ミントの仲間ですが、レモンのような香りを持つハーブです。ヨーロッパでは昔から気持ちを落ち着けるハーブとして使われてきました。

  • カフェイン 0mg
  • 味わい レモンのようなさわやかな香りと、やさしい口当たり
  • おすすめの飲み方 カモミールとブレンドすると、甘さとさわやかさのバランスがよくなります

9. そば茶(韃靼そば茶) 香ばしさと栄養を楽しむ

炒ったそばの実から作るお茶。香ばしくて飲みやすく、とくに「韃靼(だったん)そば茶」はルチンというポリフェノールを多く含むことで知られています。

  • カフェイン 0mg
  • 味わい 香ばしく、ほのかな苦み
  • おすすめの飲み方 お湯を注いだ後の実はそのまま食べられます

※そばアレルギーのある方は絶対に飲まないでください。

10. デカフェ・カフェインレスのお茶やコーヒー

「やっぱり紅茶やコーヒーの味が好き」という方には、カフェインを取り除いた「デカフェ」や「カフェインレス」の商品もあります。

ただし、ここで知っておきたいのが、デカフェやカフェインレスは「カフェインゼロ」ではない、ということです。

  • ノンカフェイン・カフェインゼロ もともとカフェインを含まない、またはほぼ含まないもの
  • デカフェ・カフェインレス もともとカフェインを含むものから、カフェインを取り除いたもの(少量は残っている)

日本では、コーヒーの業界団体のルールで「カフェインを90%以上取り除いたもの」がカフェインレスと表示できることになっています。一方、ヨーロッパでは、デカフェのコーヒー豆に含まれるカフェインは0.1%以下と、日本よりも厳しい基準が定められています。

同じ「デカフェ」という言葉でも、国やメーカーによって中身が少しずつ違うんですね。とくにカフェインを控えたい事情がある方は、パッケージの表示をしっかり確認するのがおすすめです。

夜のお茶選び 早見表

こんな夜におすすめのお茶
とにかくリラックスしたいカモミール、レモンバーム
紅茶っぽいものが飲みたいルイボスティー、デカフェ紅茶
香ばしいお茶が好き麦茶、ごぼう茶、そば茶
甘いものが欲しくなったとうもろこし茶、黒豆茶、ルイボスミルクティー
食べ過ぎた・気分を切り替えたいペパーミントティー
家族みんなで飲みたい麦茶、とうもろこし茶、黒豆茶

論文や海外文献からわかった、カフェインの意外な話

ここからは、海外の論文や公的機関の資料をもとに、日本のブログや記事ではあまり紹介されていない「カフェインの意外な話」をまとめてみました。

意外な話1 寝る6時間前のカフェインでも、睡眠が1時間以上減っていた

2013年、アメリカの睡眠研究者たちが、睡眠の専門誌に興味深い研究を発表しました(Drakeら、2013年)。

この研究では、健康な大人に、次の3つのタイミングでカフェイン400mg(コーヒーおよそ4杯分)をとってもらい、睡眠への影響を調べました。

  • 寝る直前
  • 寝る3時間前
  • 寝る6時間前

その結果、寝る直前や3時間前はもちろんのこと、寝る6時間前にとった場合でも、睡眠時間が1時間以上も短くなっていたのです。

さらに興味深いのは、参加した人たちが「自分の眠りが悪くなった」とはあまり感じていなかったこと。つまり、本人が気づかないうちに、カフェインが睡眠を削っていた可能性があるということです。

研究チームは、この結果から「寝る6時間前より後には、たくさんのカフェインをとらない方がよい」と提案しています。

※この研究で使われた400mgはかなり多めの量です。ふだんの1〜2杯とは条件が違う点は、頭に入れておいてくださいね。

意外な話2 コーヒーは「寝る8.8時間前」までが目安?

では、ふだん飲む量のカフェインなら、何時間前まで大丈夫なのでしょうか。

この疑問にヒントをくれるのが、2023年にオーストラリアの研究チームが発表した大規模な分析です(Gardinerら、2023年)。これは、これまでに行われたカフェインと睡眠に関する24件の研究をまとめて分析した「メタ分析」と呼ばれるものです。

この分析によると、

  • カフェインをとると、睡眠時間は平均で約45分短くなる
  • 眠りの効率(ふとんに入っている時間のうち、実際に眠れている時間の割合)が約7%下がる
  • 寝つくまでの時間が約9分長くなる
  • 深い眠りの時間が減る

という傾向が見られました。

そして研究チームは、睡眠への影響を避けるための目安として、

  • 一般的なコーヒー1杯(カフェイン約107mg)なら、寝る8.8時間前までに
  • 運動前のサプリなど、カフェインが多いもの(約217mg)なら、寝る13.2時間前までに

とることを提案しています。

夜11時に寝る人なら、コーヒーは午後2時ごろまで。これは多くの人が思っているよりも、ずっと早い時間ではないでしょうか。「3時のおやつにコーヒー」も、実は眠りに影響しているかもしれないのです。

意外な話3 カフェインに「強い人」「弱い人」は遺伝子で決まっている

「夜にコーヒーを飲んでもぐっすり眠れる」という人もいれば、「お昼の紅茶1杯で夜眠れなくなる」という人もいます。この差の大きな理由のひとつが、遺伝子です。

私たちが飲んだカフェインは、主に肝臓で「CYP1A2(シップワンエーツー)」という名前の酵素によって分解されます。この酵素をつくる遺伝子にはタイプがあり、カフェインを素早く分解できる人と、ゆっくりしか分解できない人がいることがわかっています。

2006年にアメリカの医学雑誌(JAMA)に掲載された研究(Cornelisら)では、カフェインの分解がゆっくりなタイプの人がたくさんコーヒーを飲むと、心臓の病気(心筋梗塞)のリスクが高まる傾向があった一方、分解が速いタイプの人ではそうした傾向が見られなかったと報告されています。

つまり「コーヒーは体にいい」「いや、体に悪い」という話は、実は人によって答えが違うのかもしれません。

周りの人が平気で夜にコーヒーを飲んでいても、自分も同じとは限りません。自分の体の反応を大切にすることが、なによりのヒントになります。

意外な話4 妊娠中は、カフェインが体に残る時間がとても長くなる

カフェインが体から抜けるスピードは、遺伝子だけでなく、体の状態や生活習慣によっても大きく変わります。海外の薬理学の資料では、次のようなことが知られています。

  • 妊娠中(とくに後期)は、カフェインが体から抜けるまでの時間が大きく延び、半減期が十数時間になることもある
  • 一部の飲み薬(低用量ピルなど)を使っていると、分解がゆっくりになりやすい
  • たばこを吸う人は、カフェインの分解が速くなる傾向がある

妊娠中の方に対して、多くの国の機関が「1日200mgまで」といった目安を出しているのは、赤ちゃんへの影響に加えて、こうした「体に残りやすくなる」性質も関係しています。

なお、ふだん服用しているお薬とカフェインの相性が気になる方は、自己判断せず、医師や薬剤師に相談してくださいね。

意外な話5 緑茶の「うまみ成分」が、カフェインのトゲをやわらげる?

緑茶、とくに玉露や抹茶には、うまみのもとである「テアニン」という成分がたっぷり含まれています。このテアニンには、気持ちを落ち着かせる方向に働く性質があることが知られています。

イギリスの研究チームが2008年に発表した研究(Owenら、Haskellら)では、カフェインとテアニンを一緒にとったグループで、注意力や集中力のテストの成績がよくなる傾向が見られました。

「コーヒーを飲むとソワソワするけれど、緑茶だと落ち着いて集中できる」
そんな感覚がある方もいるかもしれません。その背景には、このテアニンとカフェインの組み合わせがあるのではないか、と考えられています。

ただし、テアニンを含むからといって、カフェインの「目を覚ます作用」がなくなるわけではありません。玉露や抹茶は、日中の集中したい時間に楽しむのがおすすめです。

意外な話6 カモミールティーで眠りの悩みが改善した研究

先ほど少し触れた、カモミールティーの研究です。

2016年、台湾の研究チームが看護学の専門誌に発表した研究(Chang & Chen、2016年)では、出産後で睡眠に悩みを抱える女性80人を2つのグループに分け、片方のグループに2週間、毎日カモミールティーを飲んでもらいました。

その結果、カモミールティーを飲んだグループでは、飲まなかったグループに比べて、睡眠の質に関する悩みや、落ち込みの気持ちが改善していたと報告されています。

ただし、飲むのをやめて4週間たつと、その差はなくなっていました。カモミールティーは、魔法の薬ではなく「続けることで、夜の心と体をやさしく整える習慣」と考えるのがよさそうです。

また、カモミールと眠りの関係については、はっきりとした効果が確認できなかった研究もあります。あくまで「リラックスのための一杯」として、気軽に取り入れてみてくださいね。

意外な話7 カフェインにも「やめたときの反動」がある

毎日コーヒーやお茶を飲んでいる人が急にやめると、頭痛やだるさ、集中しにくさなどを感じることがあります。

アメリカの研究者による、それまでの研究をまとめた報告(Juliano & Griffiths、2004年)によると、こうした「離脱症状」は、カフェインをやめてから12〜24時間ほどであらわれ始め、ピークは1〜2日目、長いと9日ほど続くことがあるとされています。そして、1日100mg程度(コーヒー1杯ちょっと)という、それほど多くない量を習慣的にとっている人でも起こりうるそうです。

「夜のお茶をノンカフェインに変えよう」と思ったときは、いきなりゼロにするよりも、

  • まずは夕方以降の1杯だけをノンカフェインに変える
  • 次に、午後の1杯を半分の量にする

というように、少しずつ減らしていくと体への負担が少なくすみます。

意外な話8 「水出し」にするとカフェインが少なくなる

お茶のカフェインは、お湯の温度が高いほどたくさん溶け出します。反対に、冷たい水でゆっくりいれる「水出し」にすると、カフェインは溶け出しにくくなります。

一方、うまみ成分のテアニンは低い温度でも溶け出しやすいため、水出しの緑茶は「カフェイン控えめで、うまみはしっかり」という、夜にもうれしい一杯になります。

「どうしても夜に緑茶が飲みたい」という方は、冷蔵庫で数時間かけて作る水出し茶を、常温に戻してから飲むのもひとつの方法です。ただし、カフェインがゼロになるわけではないので、飲む量はほどほどにしておきましょう。

時間帯・シーン別 カフェインとの上手なつき合い方

ここまでの内容をふまえて、1日の中でのお茶・コーヒーの飲み分け方をまとめてみました。夜11時に寝る場合を例にしています。

時間帯おすすめの飲み物ポイント
朝(起きてから1〜2時間後)コーヒー、紅茶、煎茶目覚めのサポートに。起きてすぐより、少し時間をおくとよいともいわれます
午前中〜昼すぎ玉露、抹茶、緑茶テアニンとカフェインで集中したい時間に
午後2時ごろまでコーヒーの最後の1杯海外の研究では「寝る8.8時間前まで」が目安
夕方ほうじ茶、番茶、玄米茶、ルイボスティーカフェイン少なめ、またはゼロのものに切り替え
夕食後〜寝る前麦茶、カモミール、ごぼう茶などノンカフェインリラックス時間に。温かい飲み物で体をほっとさせて

もちろん、これはあくまで目安です。カフェインに強い人もいれば、とても敏感な人もいます。「午後に紅茶を飲んだ日は寝つきが悪い気がする」など、自分の体の声を観察してみると、自分だけのちょうどいいラインが見えてきます。

手帳やスマホのメモに、その日飲んだものと眠りの調子をちょっと書き留めておくのもおすすめです。1〜2週間続けるだけでも、「自分はこのあたりで切り替えた方がよさそう」というヒントが見つかるはずです。

まとめ カフェインを知れば、夜のお茶時間はもっとやさしくなる

最後に、この記事の内容を振り返ってみましょう。

カフェインの基本
カフェインは眠気のサインを一時的に見えなくする成分で、体から半分抜けるまでに平均4〜6時間ほどかかります。大人の1日の目安は400mgまで、妊娠中は200mgまでが、海外の公的機関の目安です。

カフェイン量ランキング
100mlあたりでは、エスプレッソと玉露が飛び抜けて多く、玉露はコーヒーの約2.7倍。一方、ほうじ茶は「やさしい」イメージがあっても、実は煎茶と同じくらいのカフェインを含んでいます。飲み物は「濃さ」だけでなく「飲む量」にも注目することが大切です。

夜のノンカフェインのお茶
麦茶、ルイボスティー、カモミール、ごぼう茶、とうもろこし茶、黒豆茶など、夜でも安心して楽しめるお茶はたくさんあります。デカフェやカフェインレスは「ゼロ」ではない点だけ、覚えておきましょう。

海外の研究からわかったこと
寝る6時間前のカフェインでも睡眠が1時間以上減ったという研究や、コーヒーは寝る8.8時間前までが目安という分析があります。また、カフェインへの強さは遺伝子や体の状態によって大きく違います。

カフェインは、決して「悪者」ではありません。朝の一杯のコーヒーや、午後の緑茶は、私たちの毎日にメリハリと楽しみをくれる大切な存在です。

大切なのは、カフェインのことを少しだけ知って、「時間帯によって上手に飲み分けること」。

昼間は、香り高いコーヒーやうまみたっぷりの緑茶で、しゃきっと前向きに。
夜は、ノンカフェインのお茶で、心と体をゆっくりほどいていく。

そんなふうに飲み物を選べるようになると、夜のお茶時間は「眠れなくなるかも」と心配する時間から、「明日のためにやさしく一日を閉じる時間」に変わっていきます。

今夜は、どのお茶で一息つきますか?
あなたの夜のお茶時間が、もっとあたたかく、心地よいものになりますように。


参考文献・参照元

  • 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
  • 食品安全委員会「食品中のカフェイン」ファクトシート
  • 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
  • 全日本コーヒー公正取引協議会「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」(カフェインレスの表示基準)
  • EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies (NDA). (2015). Scientific Opinion on the safety of caffeine. EFSA Journal, 13(5), 4102.
  • Health Canada. Caffeine in Food(カナダ保健省によるカフェイン摂取の目安)
  • U.S. Department of Agriculture (USDA). FoodData Central(エスプレッソ等の成分データ)
  • Drake, C., Roehrs, T., Shambroom, J., & Roth, T. (2013). Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed. Journal of Clinical Sleep Medicine, 9(11), 1195–1200.
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ご注意

この記事は、公的機関の資料や国内外の論文などをもとに、飲み物とカフェインに関する一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。記載しているカフェイン量は目安であり、商品の種類やいれ方、飲む量によって変わります。

また、カフェインの感じ方や体への影響には大きな個人差があります。妊娠中・授乳中の方、持病のある方、お薬を服用中の方、お子さまについては、必ず医師や薬剤師などの専門家にご相談ください。

この記事の情報をもとに行った判断や行動によって生じたいかなる損害についても、当ブログおよび筆者は一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。

夜のリラックスティータイムのイメージ

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この記事を書いた人

手帳が続かない・考えすぎて動けない、そんな時期を何度も経験してきました。
手帳歴20年以上、GTD・振り返り・小さな習慣を実践しながら、少しずつ自分なりの整理術を見つけてきた人間です。
「頑張りすぎない改善」をテーマに、手帳・習慣化・心理・オカルト・日常の気になることを丁寧に発信しています。

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