QRコード決済で同じQRコードが出ることはある?1日の生成数・重複確率・仕組みを徹底解説

シヴィエさん

QRコード決済ってすごく便利だけど…同じQRができたりしないのかな?

アマエビちゃん

今回は決済システムで使われるQRコードの仕組みから、同じQRが生成される確率、他にもいろいろ解説していくよ!

コンビニでもスーパーでも、飲食店でも個人商店でも、スマホをかざすだけで支払いが終わる。QRコード決済は、この数年ですっかり日常の風景になりました。

ただ、レジ前で自分のスマホに表示される、あの小さな白黒の模様をじっと見ていると、ふと素朴な疑問が浮かんでくることはないでしょうか。

「このQRコード、日本中で毎日ものすごい数が作られているはずだけど、誰かと同じ模様が出てしまうことはないのだろうか」

「もし同じQRコードが2つ存在してしまったら、決済って混線しないのだろうか」

考え始めると、意外と奥が深いテーマです。この記事では、QRコード決済の裏側にある仕組みを、専門用語をできるだけ使わずに、次のような流れで掘り下げていきます。

  • QRコードは1日にどれくらい生成されているのか
  • 生成されたQRコードが重複することはあるのか
  • まったく同じQRコードが生成される確率はどれくらいか
  • QRコードは決済以外にどんな場所で使われているのか
  • QRコードは誰が発明し、特許はどうなっているのか

読み終わるころには、レジ前でスマホの画面を眺める時間が、ちょっとだけ楽しくなっているはずです。

目次

第1章 QRコードは1日にどれくらい生成されているのか

まず気になるのが、そもそもQRコードが日本全体でどれくらいの量、生み出されているのかという規模感です。

QRコード決済最大手であるPayPayの発表によると、2025年の決済回数は年間で88.8億回にのぼり、前年から19%増加しています。これを単純に365日で割ると、1日あたりおよそ2,430万回もの決済がPayPay一社だけで行われている計算になります。しかもこの数字は、日本国内のクレジットカードやコード決済、電子マネー、デビットカードを合計したキャッシュレス決済回数の20%超を占めているというのですから、規模の大きさが伝わってきます。

さらに、業界団体であるキャッシュレス推進協議会の調査では、コード決済サービス全体の年間決済回数はすでに100億回を超える水準まで拡大しています。PayPay以外にもd払いや楽天ペイ、au PAYなど複数の事業者が存在することを考えると、日本全体では1日あたり3,000万回前後、あるいはそれ以上のQRコードや関連するバーコードが生成・読み取りされている可能性があります。

ここで重要なのは、QRコード決済には大きく分けて2つの方式があるという点です。

一つは「ユーザースキャン方式」と呼ばれるもので、お店側が掲示しているQRコードを利用者のスマホで読み取り、金額を入力して支払う方法です。この場合、お店側のQRコードは店舗ごとに固定されていることが多く、頻繁に新しいコードが作られるわけではありません。

もう一つは「ストアスキャン方式」で、こちらは利用者がアプリに表示させたバーコードやQRコードを、お店のレジ端末で読み取ってもらう方法です。この利用者側のコードこそが、決済のたびに新しく作られる、いわば「使い捨て」に近いコードにあたります。

つまり、私たちが疑問に思っている「1日に大量に生成されているQRコード」の正体は、主にこのストアスキャン方式で表示される、決済のたびに個人のスマホ内で作り出されるコードだということになります。

第2章 生成されたQRコードは重複することがあるのか

ここが最も気になるポイントだと思います。結論から言うと、正しく設計された決済システムであれば、実用上ほぼ重複は起こらない仕組みになっています。ただし、その理由は「たまたま運が良いから」ではなく、意図的にそう作られているからです。

QRコード決済アプリが表示するコードには、主に次のような情報が組み込まれています。

まず、ユーザーを識別するための固有のID情報です。これはアカウントごとに割り当てられた番号のようなもので、他の利用者と重なることはありません。

次に、時刻情報や有効期限に関する情報です。多くのサービスでは、画面に表示されているコードは数十秒から1分程度で自動的に更新される仕組みになっており、古いコードは無効になります。これはセキュリティ上の理由が大きく、もし画面のスクリーンショットを他人に見せてしまっても、有効期限が切れていれば不正利用されにくいという狙いがあります。

さらに、暗号化された取引固有のトークン(一度きりの符号)が付加されます。このトークンはサーバー側で生成され、同じ利用者であっても、決済のたびにまったく異なる文字列になるよう計算されています。

つまり、QRコードそのものは「模様」として見た目が似ていても、その中に埋め込まれているデータは、時刻・ユーザーID・ワンタイムトークンの組み合わせによって毎回変わるように設計されているわけです。仮に模様がそっくりに見えたとしても、読み取った瞬間にサーバー側で照合が行われ、有効期限切れや二重使用のトークンは決済処理そのものが拒否されます。

つまり「見た目の模様が同じQRコードが表示されること」と「決済システム上で重複が起こること」は、まったく別の話だということです。前者はあり得ても、後者は仕組み上ほぼ起こらないようになっている、というのがより正確な答えになります。

シヴィエさん

ユーザーごとの固有情報も含まれるのなら安心だね!

アマエビちゃん

有効期限もあるから不正使用されるリスクはかなり低いよね!

第3章 まったく同じQRコードが生成される確率は何%くらいか

では、仕組みの話はいったん置いておいて、純粋に数学的な観点から「まったく同じ模様のQRコードが偶然生成される確率」を考えてみましょう。これはQRコードの規格そのものの話になります。

QRコードの技術仕様は、国際標準規格「ISO/IEC 18004」によって細かく定められています。この規格は日本のデンソーウェーブが開発した技術をもとに、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)が共同で策定したものです。

この規格では、QRコードのサイズは「バージョン1」から「バージョン40」まで、全部で40段階用意されています。バージョン1が21×21マスの最小サイズ、バージョン40が177×177マスの最大サイズです。バージョンが上がるごとに、格納できる情報量も増えていきます。

海外の技術解説サイトが公開しているISO/IEC 18004の容量表によると、最大サイズであるバージョン40・誤り訂正レベル最低(レベルL)の場合、英数字だけであれば最大で約4,296文字、数字だけであれば最大で約7,089文字ものデータを1つのコードに詰め込むことができるとされています。

ここで、仮に英数字だけを使い、決済アプリが40文字程度のランダムな符号をQRコードに埋め込むケースを考えてみます。QRコードの英数字モードで使える文字種は、数字10種類、アルファベット大文字26種類、それに記号9種類を合わせた45種類です。

もし40文字すべてがランダムに選ばれるとすると、理論上の組み合わせの数は「45の40乗」という、天文学的な数字になります。これは10進数でいうと65桁を超える数値であり、宇宙に存在する原子の数(諸説ありますが概ね10の80乗程度と見積もられています)と比べても、決して桁違いに小さいわけではないほどの規模です。

このように膨大な組み合わせの中から、まったく同じ文字列がたまたま2回生成される確率は、実質的にゼロと言ってよいレベルまで下がります。よく知られている「誕生日のパラドックス」という考え方があります。これは「同じ部屋に何人集まれば、誕生日が同じ人が現れる確率が50%を超えるか」という問題で、答えは意外にも23人程度で50%を超えるという、直感に反した結果になることで有名です。

この考え方をQRコードに当てはめても、組み合わせの母数があまりにも大きいため、日本中の全人口が1日に何十回とQRコードを生成し続けたとしても、偶然同じ文字列が生成される確率は、ほぼ無視できる水準にとどまります。実際の決済システムでは、ランダム性に加えてユーザーIDや時刻情報も組み合わせているため、確率はさらに何桁も低くなると考えて差し支えありません。

もちろん、これはあくまで理論上の話であり、実際のQRコード決済のセキュリティは、確率の低さだけに頼っているわけではありません。前章で説明したように、有効期限を短く設定したり、サーバー側で二重使用をチェックしたりすることで、確率がゼロでないリスクにも多重に備えているのが実情です。

第4章 QRコードのさまざまな用途

ここまで決済の話を中心にしてきましたが、QRコードはもともと決済のために生まれた技術ではありません。もう少し視野を広げて、QRコードがどのような場面で活躍しているのかを見てみましょう。

最初に開発された用途は、実は自動車部品の管理でした。工場の生産ラインで部品を管理するために、大量の情報を素早く読み取れるコードが必要とされたのが開発のきっかけです。この生い立ちからもわかる通り、製造業や物流の現場は、今でもQRコードの重要な活躍の場です。倉庫での在庫管理や、配送伝票の追跡などに広く使われています。

飲食店では、メニュー表としての活用も一般的になりました。テーブルに置かれたQRコードを読み取ると、スマホの画面上でメニューが表示される仕組みです。紙のメニューを刷り直す手間が省けるうえ、多言語対応もしやすいというメリットがあります。

イベントやコンサートのチケットにも、電子チケットとしてQRコードが使われています。会場の入り口でスタッフが専用の機器でQRコードを読み取ることで、不正な転売チケットや偽造チケットの検出にも役立っています。

広告やポスター、名刺にQRコードを印刷し、読み取るとウェブサイトやSNSアカウントに誘導するというマーケティング用途も定着しました。テレビCMの画面にQRコードが表示され、視聴者がその場でスマホをかざして詳細情報にアクセスするという光景も、今では珍しくありません。

少し変わった用途としては、鉄道の分野での活用も進んでいます。デンソーウェーブと東京都交通局が共同で開発した「tQR」と呼ばれる専用のQRコードは、電車のドアの外側に貼り付けられ、ホームドアの開閉位置を車両ごとに判別するために使われています。一般的なQRコードとは互換性がなく、専用の読み取り装置でしか読み取れないように設計されている点も興味深いところです。

このように、QRコードは決済だけでなく、私たちの生活のあらゆる場面に静かに浸透している技術だということがわかります。

第5章 QRコードは誰が作ったのか、特許はどうなっているのか

最後に、QRコードそのものの生い立ちについても触れておきましょう。実はこの技術、日本生まれであることはあまり知られていません。

QRコードを開発したのは、自動車部品メーカーであるデンソー(現在のデンソーウェーブ)です。開発が始まったのは1994年、バブル崩壊後の先行きが不透明な時代のことでした。中心となって開発を進めたのは、原昌宏氏という技術者で、渡部元秋氏らとともに、わずか数名規模のチームでプロジェクトを進めたと伝えられています。

開発のきっかけは、自動車工場の生産ラインで使われていた従来のバーコードが抱えていた課題でした。当時主流だった一次元のバーコードは、記録できる情報量が英数字にして最大20文字程度と限られており、1つの部品箱に何枚ものバーコードを貼り付けて、作業員が一枚ずつスキャンするという非効率な作業を強いられていたのです。

この課題を解決するために誕生したのがQRコードでした。数字であれば約7,000文字、漢字も表現可能という大容量を実現しながら、他のコードよりも10倍以上速く読み取れるスピードを両立させた点が画期的でした。高速読み取りを可能にしたのは、コードの隅にある3つの四角い模様、いわゆる「切り出しシンボル」です。この模様によって、どんな角度からスキャンしても、コードの位置や向きを瞬時に認識できるようになっています。ちなみに「QR」という名前自体も、この高速性を表す「Quick Response(クイックレスポンス)」の頭文字から名付けられました。

そして特許についてです。デンソーウェーブはQRコードの基本特許(特許第2938338号)を取得していましたが、この権利を行使せず、事実上無償で開放するという決断をしました。なぜそのような選択をしたのでしょうか。

理由はシンプルで、どれだけ優れた技術を開発しても、周辺機器や読み取り装置といったインフラが世の中に整備されなければ、誰も安心して使うことができないと考えたからです。特許を厳しく管理して独占するのではなく、あえて広く技術を開放することで、他社にも自由に対応機器やサービスを開発してもらい、結果として世界中にQRコードを普及させる戦略を取ったのです。

ただし、ここで興味深いのは「QRコード」という名称、つまり商標権については、今もしっかりとデンソーウェーブが保有し続けているという点です。特許は出願から20年で権利が消滅する仕組みですが、商標は更新を続ける限り半永久的に権利を維持できます。そこでデンソーウェーブは、技術を無償開放しつつも、企業がQRコードを利用する際には「QRコードはデンソーウェーブの登録商標です」といった表示をお願いするという方針を取りました。

これにより、技術そのものは世界中の企業が自由に活用できる一方で、ブランドとしての「QRコード」という名前は、発祩の地である日本企業のもとにしっかりと残り続けることになったわけです。特許は手放し、商標は守り抜くというこの知的財産戦略は、技術の普及とブランドの持続を同時に実現した、優れたビジネスモデルの一例として、現在も国内外の知的財産関係者の間で注目されています。

まとめ

ここまで、QRコード決済にまつわる素朴な疑問を、いくつかの角度から掘り下げてきました。最後に内容を振り返ってみましょう。

まず、QRコード決済は日本国内だけでも1日に2,000万回を優に超える規模で使われている、非常に大きなインフラに成長しています。そして、決済のたびに表示されるQRコードは、ユーザーID・時刻情報・一度きりのトークンといった複数の要素を組み合わせて作られており、見た目の模様が似て見えることはあっても、決済システムとして重複が起こらないよう幾重にも設計されています。

数学的に見ても、QRコードが表現できる組み合わせの数は天文学的な規模にのぼり、偶然まったく同じコードが生成される確率は、実質ゼロに近いといえる水準です。それでもなお、決済サービス各社は有効期限やサーバー側での二重チェックといった仕組みを重ねることで、万が一のリスクにも備えています。

そして、私たちが日々何気なく使っているこのQRコードは、もともと決済のためではなく、自動車工場の部品管理という現場の課題を解決するために、日本の技術者によって生み出されたものでした。特許を無償で開放するという当時としては大胆な決断があったからこそ、今のように世界中で当たり前に使われる技術へと成長できたのです。

次にレジでQRコードを表示する機会があったら、その小さな画面の中で、時刻やトークンといった見えない情報が絶えず更新され続けていること、そして30年以上前に生まれたこの技術が世界中に広がるまでの物語に、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

手帳が続かない・考えすぎて動けない、そんな時期を何度も経験してきました。
手帳歴20年以上、GTD・振り返り・小さな習慣を実践しながら、少しずつ自分なりの整理術を見つけてきた人間です。
「頑張りすぎない改善」をテーマに、手帳・習慣化・心理・オカルト・日常の気になることを丁寧に発信しています。

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